退職金なしの会社の割合や将来の老後生活の不安への対策(保険などでの貯金・貯蓄の積み立て)|独身、親、定年など立場別や違法ではないのかも解説

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おかねアンサー編集部

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退職金なしの企業割合や、各業種・会社規模・立場別での退職金ありなしの傾向などを解説しています。また、退職金なしの場合、老後の備えはどのようにすれば良いのか対策方法や、退職金がある場合の所得税・住民税の計算方法なども説明しています。

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1. 退職金なしの企業の割合は約25%。退職金なしの会社は違法?(退職金は義務ではありません)

退職金なしの企業割合は全体の4分の1で、75%の企業は退職金があることから普通とまでは言えませんが、退職金は義務ではなく法律や労働基準法に違反(違法)していないため、訴えることはできません。

退職金があるかどうかは企業の規模や種類によっても異なり、鉱業や建設業、金融業は退職金制度がある企業割合が90%以上になっています。電気・ガスなどの公共事業は、すべての会社が退職金を設けていることが特徴です。

退職金がない企業に勤めることが不安な場合は、職種や規模を確認しておくようにしましょう。もちろん、企業ごとのルールも見ておくことが大切です。

参考:厚生労働省|退職金制度

退職金制度は会社の雇用契約・就業規則(規定)を確認

退職金制度があるか知りたい場合は、会社の雇用契約や就業規則(規定)を見るとはっきりします。退職金に関する記述がない場合や、退職金がないとはっきり記載されていることもあるでしょう。

契約書が手元になく、規則が見られない場合は担当の部署に確認してみることも有効な方法です。

退職金がない代わりに給料・有給・ボーナス(賞与)・昇給・福利厚生(住宅手当など)が多い会社は大丈夫

もし、退職金がないとしても、給料や有給、ボーナス(賞与)、昇給制度、福利厚生制度(住宅手当など)が多く設定されている会社なら、大丈夫です。退職金は自分の給与からの天引きや、会社が退職金として積み立ててくれるお金のため、その分を給与やボーナス、昇給などに使っているなら同じことになります。

退職金がないから給与やボーナスが多いと考えれば、自分で自由に貯金や投資など退職金代わりになるものを設定しておけるでしょう。お金として支給してくれる企業だけでなく、有給や福利厚生として還元してくれる企業もあります。

参考:佐伯社会保険労務士事務所|退職金の積立方法

10年働いても退職金なしの会社もある

通常、数年で退職金が発生することが多いですが、10年働いても退職金なしの会社もあるため注意が必要です。

退職金が発生する勤務年数は、企業で決めることができます。すぐに辞めてしまう従業員には退職金が出ないよう設定することも可能です。もし、ルール上15年以上働いた場合は支給すると書かれていれば、特に違法ではありません。

退職金なしはデメリットばかりではない(メリットとして年俸制など基本給与(年収や月給)が高いケースあり)

退職金なしはデメリットだけでなく、年棒制など基本給与(年収や月給)を高く設定できるメリットもあります。会社は従業員の退職金のために毎月お金を出す必要がなくなり、従業員の給与からも退職金分を差し引く必要がないためです。

退職金の積立を会社側で行う余裕がない企業の場合は給与が高くないケースもありますが、退職金なしの代わりに従業員に還元しようと考えている企業ならメリットも多いでしょう。

年棒制は年間の賃金をあらかじめ決めておくタイプの制度で、退職金なしも多めです。もちろん、企業によっては年棒制かつ退職金・ボーナスが付与されることもあります。

参考:東京労働局|年俸制賃金関係

退職金の代わりに確定拠出年金を導入する企業が増えている

最近は、退職金の代わりに確定拠出年金を導入する企業が増えています。確定拠出年金には企業型と個人型があり、企業が退職金代わりに導入しているのは「企業型」です。

掛金を負担するのは会社ですが、口座に振り込まれた資金を自分で運営します。投資タイプの商品で掛金を増やしたい方や、貯金タイプの商品で安全に運用したい方まで使いやすい制度です。

なお、60歳まで原則受け取ることはできません。一時的にまとめてもらえタイプとは違います。老後の資金として取っておけることが特徴です。

参考:野村の確定拠出年金ねっと|企企業型確定拠出年金制度の概要

2. 【立場別】退職金なしの場合の将来の老後生活はどうするのがよい?(貯金・貯蓄の積み立て、保険などで対策)

退職金なしでは将来や老後生活をどうするのか不安に感じる方も多いですが、どうするのが良いかと言えば、自分で家計を見直して貯蓄(貯金)・積み立て・保険を利用することが効果的な対策です。

退職金ありとなしでは、老後の資金が大きく変わってきます。たとえば大学卒では1人平均の退職金は2,000万円を超えます。高校卒では約1,900万円が平均です。

その他の職種や学歴でも、1,300~1,500万円ほどの退職金が平均のため、退職金なしの企業では貯金や保険、積み立てなどでその分を補うことが必要です。

もちろん、必ずしも会社を定年まで勤めるとは限りません。自己都合や会社都合で退職金をもらう時期が早まることもあります。どちらにしても、20年以上会社勤めを続けた45歳以上の退職者は、平均で1,000万円以上の退職金をもらっています。

退職金がまったくない企業に勤めている場合は、会社勤めを始めてから、通常の貯金以外に老後資産として1,000万円以上貯められるかどうか、試算しておくことをおすすめします。

参考:厚生労働省|退職給付(一時金・年金)の支給実態

夫・旦那に退職金がない場合

夫(旦那)に退職金がない場合は、厚生年金や企業年金などがないか確認しておきましょう。会社員で社会保険に加入している場合は、65歳以上で厚生年金が給付されます。

別途企業年金を設定している会社もあるため、厚生年金の他に割増で年金をもらえるケースもあるでしょう。定年が60歳の場合、年金がもらえるようになるまでの期間があります。ある程度貯金も必要ですが、年金がいくらもらえるのか試算しておけば、貯金などの計画も立てやすいのではないでしょうか。

独身女性で退職金がない場合

独身女性で退職金がない場合、老後の資産は自分でたくわえる必要があります。会社員なら厚生年金や企業年金がもらえます。社会保険に加入していない場合は、国民年金の対象です。

退職金がない場合はまとまった資金が手に入らないため、早めに確定拠出年金や貯金などで、老後の資金を作っておきましょう。

親に退職金がない場合

親に退職金がない場合は、親が会社を辞めた時、急激に収入が減ることを覚悟しておきましょう。65歳まで勤めることができ、年金でまかなえる場合は大きな問題になりませんが、早期退職などで定年前に会社を辞めた場合、収入が途絶えてしまうことになります。

なんらかの援助が必要になることもあるでしょう。もちろん、十分な貯金がある場合は問題になりません。

住宅ローンを組むときは要注意

住宅ローンは、20年、30年と長期にわたってお金を用意しなければなりません。定年までの住宅ローンを組んでいる場合、収入が途絶えると大きな問題です。

ローンを組み始めた時と同じ収入がある前提で毎月支払う金額が設定されるため、会社を辞めたからと言ってローンが軽減されるわけではありません。

退職金があるなら、会社を辞めた時も退職金でローンを支払うことができますが、退職金がない時は貯金などを崩してローンを支払うことになります。

また、退職金がある場合でも会社が倒産するなど不測の事態が起こった場合、満額がもらえるとは限りません。住宅ローンは無理のない金額を、少ない年数で組む方が安心です。

3. 【会社種別】会社ごとの退職金ありなしの傾向

民間会社の退職金ありなしの傾向を、規模や種類ごとに解説します。

法人大手(大企業・上場企業)

法人大手(大企業・上場企業)では、一般的に退職金制度も充実していますが、楽天は退職金制度がなく、ソフトバンクは確定拠出年金のみです。

従業員1,000人以上の法人大手では、95.2%が退職金を設けていることが特徴です。退職時の一時金のみの会社は約19%、退職年金制度のみの会社は約24%、両方の制度を併用している会社が約56%と多くなっています。

楽天は大企業の中でも珍しく、退職金制度を設けていない企業です。ソフトバンクは勤続年数ではなく、毎年能力評価によって確定拠出年金の加算額が決まります。

参考:厚生労働省|退職金制度

法人中小(中小企業・零細企業・ベンチャー・自営業)

法人中小企業(零細企業・ベンチャーを含む)では大企業に比べて退職金制度を設けている会社が少なくなり、自営業にいたっては退職金制度はありません。

従業員数300~999人の中小企業では、約92%が退職金を設けています。規模が小さくなる100~299人では約88%、30~99人では約81%です。

従業員数の少ない零細企業は、退職金制度がないケースも多くなります。また、ベンチャー企業では個人の能力を重視していることや、会社の人材を入れ替える意味でも退職金なしの企業が多めです。

自営業はそもそも自分が会社の社長として経営を行っているため、従業員のために設定されている退職金制度は利用できません。

外資

退職一時金は、日本特有の制度のため外資系企業では退職金が設定されていないことが大半です。年金制度は設けられていることがありますが、まとまった資金を手に入れられないため、一時金が欲しい場合は日本の企業を選択することが適しています。

有限会社

有限会社でも、退職金を設けているところはあります。規模が小さい会社は退職金制度がないケースもありますが、有限会社でもある程度の規模を保っている会社なら、退職金制度を設けていることもあるでしょう。

有限会社だから退職金制度がないと言うルールはありません。会社ごとの規則を確認しましょう。

4. 【雇用形態別】退職金ありなしの傾向例

以下では、雇用形態別の退職金ありなしの傾向を紹介します。

正社員(サラリーマン)

正社員(サラリーマン)などの定年制では、退職金がもらえるケースが大半です。企業で退職金を設けていない場合はありませんが、日本の企業は8割以上が退職金を設定しているため、制度の恩恵を受けられることも多いでしょう。

契約社員

契約社員の実態を調査した資料によると、契約社員への退職金は8割以上が支給なしとなっています。契約社員は期間を限定して雇用するシステムで、主に3年~5年程度の期間の定めが設定されています。

問題がなければ更新されるため、正社員と大きな違いはありませんが、賞与や退職金は正社員に比べて支給率が少ないことが特徴です。

参考:東京都産業労働局|契約社員に関する実態調査

派遣社員

派遣社員は、契約社員と同じく正社員よりも退職金の支給率が低くなっています。所属している会社は派遣元ですが、実際に働いているのは派遣先です。

派遣先で、派遣社員にも退職金を支給すると決まっていれば支給されます。自社の契約社員でも2割程度の支給にとどまっているため、派遣社員も同様に低い支給率です。

パート

パートは社員と異なり、短時間勤務のため退職金が設定されていないことがほとんどです。しかし、地域によってはパートに退職金を設定するための救済制度があるなど、全員退職金がもらえないわけではありません。

会社の規則によっては、正社員ほどの金額でなくても退職金がもらえるケースがあります。

参考:摂津市|摂津市パートタイマー等退職金共済制度

経営者・役員

経営者(代表取締役)や役員の退職金は、役員報酬(役員退職金)と言う形で支給されます。役員が勝手に決めることはできませんが、株主総会などで上限などが設定される仕組みです。

参考:ロア・ユナイテッド法律事務所|役員報酬・役員の退職金及び賞与の決定

公務員

公務員の退職金は、自己都合・傷病による退職など状況に応じて細かく設定されています。20年以上勤務した国家公務員の退職金は、退職手当と共済年金を合わせて平均2,500万円程度です。

参考:人事院|民間の退職金及び企業年金の調査結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解の概要

5. 【業界別】退職金ありなしの傾向例

以下では、業界別に退職金ありなしの傾向を解説します。アパレル、病院などの医療系、介護・福祉、運送業の退職金有無を見てみましょう。

参考:厚生労働省|退職金制度

アパレル

アパレル業は職種によって退職金ありなしの割合が異なりますが、卸売・小売業では約87%、製造業なら約88%の会社で退職金が支給されています。

病院・歯科(歯科衛生士)

病院や歯科(歯科衛生士)などの退職金は、病院ごとに独自の設定があります。小さな医院では設定されていないこともありますが、県立病院や市立病院などでは原則退職金の規定が設けられています。

介護・福祉(介護職)

厚生労働省の資料によると、介護・福祉などの介護職が含まれる医療・福祉業の退職金支給割合は約62%です。日本全体では7割以上の企業に退職金制度が設定されているため、医療福祉系は支給率が低めと言えます。

運送業

厚生労働省の調査によると、運送業の退職金支給割合は約78%です。全体の平均から見るとやや低めになっています。

6. 【退職理由別】退職金ありなしの解説

以下では、退職の理由別に退職金ありなしを解説します。

会社都合退職(クビ・整理解雇・懲戒解雇・リストラなど)

整理解雇やリストラなどの会社都合退職では、一般的に退職金の額が上がりますが、懲戒解雇やクビなど自分自身の問題により退職する場合は退職金が減ることもあります。

実質は整理解雇やリストラの場合でも、会社と相談の上で「自己都合」としてしまうと退職金は上がりません。退職金のことを考えるなら、自己都合の形で退職して欲しいと言われても了承しない方が良いでしょう。

自己都合退職

自己都合退職の場合、会社都合や定年まで勤めた場合よりももらえる額が少なくなります。もちろん会社のルール上、退職理由にかかわらず同じ金額が設定されている場合は、自己都合でも同じです。

7. 退職金制度ありなしの会社の見分け方は転職先の求人票で確認(ハローワークなど)

退職金制度があるかどうかの見分け方は、ハローワークなどで見られる転職先の求人票でチェックすることです。求人票には雇用契約の詳細が記載されているため、退職金の有無も見ることができます。

求人票以外にも、自社ホームページなどで福利厚生や退職金制度について記載しているところもあるので確認してみましょう。

8. 退職金は税金なし?(所得税と住民税がかかります)

退職金は税金なしと思われている方もいますが、金額によっては所得税と住民税がかかります。非課税の金額は勤続年数によって変わり、20年以下なら40万円に勤続年数をかけた額です。20年を超えると、870万円×(勤続年数-20)で計算できます。

非課税分を超えた場合、税金がかかる仕組みです。 300万円-30万円で、実際に受け取れるのは270万円です。

参考:国税庁|退職金と税

給料から源泉徴収されていなければ確定申告(源泉徴収票で確認)

給料からすでに源泉徴収されている場合は別途確定申告の必要はありませんが、源泉徴収票で確認しておきましょう。

退職金にかかる所得税の計算方法

退職金にかかる所得税の計算方法は、課税対象額×所得に応じた税率です。

たとえば勤続年数5年で300万円が支給された場合で計算してみましょう。年間所得が500万円だった場合、所得税は20%です。40万円×5を引くと課税対象額は100万円のため、所得税として20万円が差し引かれます。

退職金にかかる住民税の計算方法

退職金にかかる住民税の計算方法は、課税対象額×10%です。

所得税の例でもあげた5年勤務で退職金を300万円もらった場合、100万円に対して税金がかかります。住民税は10万円です。所得税と住民税を引かれると、上記の例では270万円が受け取れます。

9. 自己破産をする時に退職金なしであることの証明書が必要

自己破産をする場合、退職金が資産としてカウントされるため、退職金なしであることの証明証が必要です。退職金制度があれば自己破産できないわけではありませんが、退職金の見込み額が自己破産申請時点で160万円以上ある場合、処分の必要が出てくるためです。

法律により、退職金の8分の1は現時点の資産にカウントされます。資産が20万円を超える場合は処分対象となるため、退職金がない場合は退職金なしであることを会社に証明してもらう必要があります。

参考:町田総合法律事務所|退職金見込額証明書を提出できない場合

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